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「新・ミスタータイガース」の作り方: 「掛布道場」指導ノートより [将棋コラム感想]

「新・ミスタータイガース」の作り方: 「掛布道場」指導ノート

 2014/4/16発売の本からです。

 将棋コラムの感想なのに、なぜ、プロ野球、阪神タイガースで大活躍された掛布雅之さんの本を取り上げたかというと、掛布さんは升田幸三さんとの交流があったそうです。

 ちなみに阪神ファンとして、谷川浩司将棋連盟会長と井上慶太九段は有名ですね。



 掛布選手は打席にはいってから構えに入る際に独特のルーティン作業(一連の動き)をされていました。ルーティン作業は現在ではイチロー選手や、広島の投手の前田健太投手がされてるようなのです。現在は時間短縮が求められているのでなかなかしずらい状況になりつつあるかもしれませんが、


 その中で掛布選手は「手を舐める」というのをされていました。正直見た目にどうか?という感じなのですが、そこはプロの勝負。自分に落ち着きを保てているかが重要ですね。


 「私は自分の唇が乾いてないかどうかを確かめた。これは、棋士の升田幸三さんに「緊張すると唇が乾く。そこで冷静に濡らすことを忘れていなければ落ち着きを取り戻すことができる」と教えられたもの。」

 P149


 から「手を舐める」が準備運動に入ったみたいですね。


 それから、3割を打つことに四苦八苦した時の話で、


 『3割の成功だけを考えるから苦しい。残り7割でいかに相手にプレッシャーをかけるか、そう考えると楽になりませんか』

 P170


 この升田先生の話を聴いて、掛布さんは、凡退する7割の打席で、相手のエースにプレッシャーをかけることを考えて打席に立つようになったそうです。


 そこから升田さんの話が続き、

 「将棋に詳しい人に聞くと、セオリーを無視して「魅せる将棋」を追求していた人だという。~(中略」~


 「棋士なんて、この世になくてもいい商売なんだ。だからプロは、ファンにとってもおもしろい将棋を指す義務があるんだよ」


 という考え方に共感を覚えた。

 怖い人だった。武士だと思った。

 聞けば、升田さんもやはり勝負師ゆえに臆病で対戦を逃げ出したことがあると言った。また、勝つためには手段を選ばない。対局の相手がタバコが嫌いなら、障子を少し開けて、その向こうからタバコの煙を流してみたり、勝つためにやれることを全てやったとも話してくれた。」

 P171~172

 他業種の方なので気軽にそういうことを話されたかなあという印象をもちました。升田先生に盤外戦術のイメージがなかったので意外でした。口撃(毒舌?」は有名ですが。


 「天才とは、やはり狂気と背中合わせなのだろう。

 将棋盤の81マスを「宇宙だ」と表現して、


 「おれには、次の一手が読める。だが、最近の棋士たちは、小さい頃からすぐに将棋を覚え始めているから、何も考えずに打てるんだ。おれは最初は剣豪を目指したが、足をケガして将棋の世界に入ったから考える将棋しかできない。だから、そういう棋士の一手が、読みにくくなっている。でも、生まれ変わったらまた将棋をやるだろう。今度は、考えない将棋をわかったうえで、その一手を打ちたいので」

 P172


 升田先生はまさしく天才に違いありませんが、閃きがすごくて、他のプロ棋士からも研究とかしていないイメージがあったそうですが、家には布の将棋盤(音がでないように)があって深夜とかにも研究されていたみたいですね。


 「その升田さんに、野球はどうなれば成功なのだ? と聞かれた。

 「3割を打つことに四苦八苦しております」

 そう答えると、

 
 「10回戦って7回も死ねるのか、おまえは楽だなあ」


 と笑われた。


 「でも、7割の失敗の中には、いい失敗もあるんだろう。俺も悪い一手はあるが、取り返しのつく一手と取り返しのつかない一手がある。取り返しのつく一手は、次につながるものだ。野球のことは無知だが、その3回の成功を光らすために、7回の失敗の中身を追求することだ。そこを高めれば、3割の成功の内容が変わってくるはず。数字的には同じでも21歳の3割と30歳になってからの3割は違ってくるだろう」


 いい失敗とはなんだろう。

 打線の〝つなぎ”を考えたチーム貢献のへのアウトもある。

 アウトになったが、相手投手にプレッシャーを与えた失敗もあるだろう。」


 と升田先生の言葉から掛布さんは上記のように学ばれたそうです。

 「10回戦って7回も死ねるのか、おまえは楽だなあ」は升田先生らしい物言いですね!

 偶然升田先生のことが書かれたのが読めてラッキーでした!






 
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